慢性鼻炎
2021.11.24

慢性鼻炎② ー朝の鼻水ー

「あなたの鼻炎はいつからですか?」と問われてはっきりと答えられる方は少ないですが、よく聞いてみると「ひどい風邪をひいて、そのまま慢性的に鼻水が出ている」というパターンがあります。

例えば、十月の肌寒い日に薄着で出かけて風邪をひき、しばらくして頭痛やだるさは良くなったけど鼻水だけはいつまでも止まらない、そのようなケースです。春先や秋口など、季節の変わり目にだけ鼻水が出るという方は、何かのアレルギーだろうと思われることが多いですが、実はちょっとしたことで風邪をひいて、それが鼻炎症状として長引いているということもあります。

このような鼻水の特徴は、とにかく寒気が先行するということです。「あ、なんかちょっと寒いな」と思った途端に鼻水が出てくる、あるいは朝に水を飲むと鼻水が出てくる、ということもあります。

こういう鼻水を治す時には、慢性的な症状であっても風邪の漢方薬を用います。有名なのは小青竜湯ですね。アレルギー性鼻炎のお薬として耳鼻咽喉科などで処方されることもありますが、もちろん全てが小青竜湯で治るわけではありません。小青竜湯が効く方の特徴としては、普段から浮腫みやすかったり、胃もたれしやすかったり、体にいらない水分が溜まりやすい体質を持っておられることが多いですね。また、もう一つよく用いられるお薬に麻黄附子細辛湯がありますが、こちらはより高齢の方、鼻水とともに体のだるさも目立つ場合によく効きます。

「漢方薬は長く飲まないと効かない」という都市伝説がありますが、小青竜湯などは飲んで15分もすれば鼻水は止まってきます。飲む際のコツとしては、エキス剤であれば必ずお湯に溶かしてフーフーしながら飲むこと。寒気をお薬で吹き飛ばしたいので、水でサッと飲んだのでは効果半減です。ちょっと酸っぱいですが、まずくはないお味ですからぜひ試してみてください。

慢性的な鼻水であっても比較的日が浅ければ、風邪の漢方による治療で短期間でよくなります。でも中には癖のようになってしまって、毎年春になると小青竜湯が手放せない、という方もいらっしゃいます。これでは西洋医学の抗ヒスタミン薬を飲んでいるのと同じですから、できれば薬が要らないレベルまで改善させたいところです。この場合には風邪の漢方ではなくて別のアプローチを加えていくことになりますが、これについてはまた別のコラムでお話したいと思います。