風邪ウイルスは鼻や口から体に入ってきます。オミクロン株は咽頭痛が特徴と言われていますが、これは鼻や口から入ったウイルスが喉で増殖しやすいことを示しています。ですから、感染を防ぐためには鼻口喉のコンディションを整えておくことがとても重要です。
後鼻漏のコラムでも書きましたが、鼻から入った空気は鼻甲介で温められたり湿気を与えられたりしてある程度体に優しい状態に加工されます。一方、口にはこのような機能がないので、口からの空気は乾いたままダイレクトに入ってきてしまい、口から喉を乾燥させ傷めてしまう危険があります。喉が傷んでいるとウイルスなどの異物を除去する力が弱くなってしまうので、感染を成立させるリスクも大きくなると考えられます。(マスクの主な目的は飛沫の飛散や吸い込みの防止ですが、喉を乾燥から守る効果もあります)
このようなリスクを避けるため、口呼吸のクセはぜひ治したいものです。鼻づまりがあると自然に口呼吸になってしまうので、普段から鼻炎のある方は治療しておかれるようお勧めします。漢方薬でも一般的なアレルギーのお薬でも構いませんが、薬局で手に入りやすい鼻炎の漢方薬としては小青竜湯がありますね。冬から春にかけて水様の鼻水が出やすい冷え性体質の方なら試してみてもいいと思います。ただし、中には鼻の中が乾きすぎてしまったり、胃もたれをしたりする方もいらっしゃいますので、そのような場合は減量するか中止してください。
鼻づまりはなくても、朝起きた時に喉がイガイガする方は寝ている間だけ口呼吸なのかもしれません。そのような場合には最近専用の口に貼るテープ(ナイトミン鼻呼吸テープ、口呼吸防止テープねむるん など)が出ていますので、冬の間だけでも試してみてください。
鼻の状態はいいし口呼吸もしていないけど、いつも喉が乾いている感じがしてイガイガする、という方もいらっしゃいます。喉に違和感があって咳払いをしたくなったり、実際に空咳が続いてしまったり、このご時世肩身が狭くなってしまいますね。このような場合は、まず室内の湿度を確認してください。至適湿度は40ー60%とされていますが、エアコンをつけているとすぐに20%台に低下してしまいます。湿度が低いと洗濯物が乾いていいのですが、ウイルスが増殖しやすくなるわ喉が乾燥するわでいいことはありません。加湿器を使うなどして湿度を40%以上に保つようにしましょう。
また、特に高齢になってから喉のイガイガが続いている場合は、陰虚体質が影響しているかもしれません。まずは栄養をしっかり摂っていただき蜂蜜を溶かした白湯などで喉を潤していただくのが一番ですが、なかなか治らないときは漢方医に相談されるのが良いと思います。
最後に、鼻口喉に問題がなくても首は絶対に冷やさないこと、これは大切です。寒気がする時は寝る前に首の後ろにホットタオルなどを当てて温めるのもいいですね。温めることで血行が良くなり、風邪への防御能が高まります。寒く乾燥したこの時期も鼻口喉を健やかに保ち、みんなで第6波を乗り切りましょう。