更年期障害
2022.04.29

更年期障害の診断にホルモン検査は必要か?

最近寝つきが悪くなってきた、これって更年期障害?それとも心配事のせい?

40歳代後半になってくると、そんな疑問を持つ方が増えてきます。更年期障害かどうか婦人科に相談したけれど血液検査をしてもらえなかったとか、そんなお話もよく聞きます。

さて、ここで「更年期」の定義についておさらいです。

まず、女性の更年期とは「閉経前後の10年間」を差します。日本人女性の閉経はだいたい50歳から51歳くらいで訪れますので、平均して45歳から55歳くらいの10年間ということですね。そして、更年期に現れるさまざまな症状の中で他の病気に伴わないものを「更年期症状」といい、その中でも症状が重く日常生活に支障を来す状態を「更年期障害」といいます。

不眠症を例にとれば、「50歳から不眠が始まれば更年期症状かもしれない、何日も寝られない日が続き、日常生活に支障を来たすようなら更年期障害だろう。ただし、うつ病による不眠である場合を除く」ということになります。

「他の病気に伴わないもの」というのがややこしいところですね。その症状がうつ病によるものか、更年期によるものか自分で判断するのは難しいと思います。そこでホルモン検査?と思いますよね。

でも、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌は不安定でありつつも月経があるうちは一定保たれており、「この値を下回ったら更年期障害」というような基準はないのです。

ポイントは女性ホルモンの値ではなくて、他の病気があるかどうか、不眠で言えば「うつ病なのかどうか」この一点です。

私が更年期障害とうつ病の分かれ目として重視しているのは、「楽しいと思える趣味を続けられているか」「休日に気分転換できているか」という点です。仕事の朝は憂鬱な気分になるけど、休みの日はお出かけをしたり、趣味のガーデニングをしたりして楽しめている、という方なら更年期障害の範疇として漢方薬やホルモン補充による治療を考えます。でも、休みの日も一日中寝ている、趣味で育てていた植物もみんな枯らせてしまった、この世からいなくなってしまいたくなる、となればうつ病を考えて心療内科を紹介します。

大切なのは鬱々と一人で抱えこまないことです。「どの科を受診したらいいか分からない」という方もいらっしゃいますが、例えば更年期障害の方が心療内科にかかっても怒られたりはしませんし、逆も同じです。とりあえず漢方内科にかかるのもいいと思います。

日本は気軽に良質な医療が受けられる稀有な国ですから、これを利用しないのはもったいないですよ。