漢方豆知識
2024.12.13

肩凝り

肩凝りのお悩みって結構多くて、統計を調べてみると、30歳以上の女性12,420人を対象とした調査では、60代までの各年代とも7割から8割程度の方が肩が凝っていると答えています。また、ピークは40代で、4割以上の方が特に強い凝りを自覚されています。

これは更年期の影響があると言われていますが、仕事や家族のことで多忙な時期で、セルフケアができないことも大きいんじゃないかなと思っています。

漢方薬で楽になる方もいらっしゃいますが、セルフケアも同時にしていかないとなかなか改善しにくいので、今日はそのお話をしたいと思います。

 

①姿勢

話が飛びますが、「3ヶ月でマスターするピアノ」というNHKの番組が10月から始まりましたね。番組のはじめのころにピアノを弾く姿勢について詳しく解説されていて、それを意識すると肩に入る力が少し楽になるのを実感したのですが、PC仕事で肩凝りがひどい方も改めて姿勢を見直すと良いと思います。下に図を示しましたが、一番のポイントは肘より手首を高くしないことです。図では90−100度となってますが、なんなら肘の角度120度くらいをキープすると肩がストンと落ちて楽になります。このためには椅子の座面の高さを調整するのがいちばん簡単です。オフィス用の椅子であれば大抵高さが調整できると思いますが、5~10センチくらい高くしてみることをお勧めします。

スマホで肩が凝る方も姿勢が問題になりますね。ただ、自分でも色々試しましたが、スマホを手に持った状態で良い姿勢を保つのはほぼ不可能だと思います。肩凝りがひどい方はスマホを使う時間を減らすしかないかなーと思います。

 

②ストレッチ

肩凝りの方にうかがうと、皆さんストレッチをしていると言われるのですが、はっきり言って全然足りないです。PCを使いながら時々肩や首を回す程度では全く足りません。首から肩にはいろんな筋肉が関わっていますが、一番大きいのは僧帽筋という筋肉で、この筋肉は背中の中心くらいにまで広がっています。肩が凝っている方は僧帽筋全体というか、肩甲骨の間から背中全体までのストレッチを心がける必要があります。

診察室で患者さんによくお教えしているのは、タオルを使ったストレッチの方法です。紙上でお伝えするのは難しいですが、タオルの両端を左右の手でつかんで、前後や左右に動かしながら上半身全体をほぐしていきます。肩が凝っている方はタオルをつかんだ両手がバンザイの位置くらいまでしか上がらないことが多いですね。自分の肩凝り度を試したい方は一度やってみてください。

 

③ホットタオルで温める

お風呂に浸かると肩凝りがしばらく楽になるのだけど、朝起きるとまたバキバキ、というのもよく聞く話です。寝相が悪いのか、枕が合わないのか、寝ている間に肩や腰が痛くなる方って結構多いんですよね。そんな方には、ホットタオルで後頭部を温める方法を試していただきたいです。美容院で髪を洗った後、後頭部を温めてくれるあれです。私はあれすごく好きなんですが、朝タオルを濡らして50秒くらいレンジでチンすると、簡単にホットタオルを作ることができますね。これで後頭部を十分に温めると、血行が良くなりストレッチの効果も上がります。寝癖も直せるし一石二鳥!

朝に首から肩をほぐしておくと、一日爽快に過ごせますので、目覚めの悪い方にもぜひお勧めしたい習慣です。

 

さて、最後はやはり漢方のお話をします。

PC仕事などで肩が凝るのは姿勢などの問題として、生理前に肩が凝るとか、更年期になって肩が凝るようになったという方が多いのはどうしてでしょうか。

生理の前後で女性の血流には、「貯める(子宮内膜を厚くする)」「流す(生理を起こす)」という真逆のベクトルが順々に働きます。このベクトルの切り替えがクルクルとうまく廻っていればいいのですが、「貯める」ベクトルが強く働きすぎると、生理前からお腹が痛くなったり、便秘をしたり、肩が凝ったりといった血流不全による症状が出てきてしまいます。更年期に入って生理不順が起こってくると、さらにこの切り替えがうまくいかなくなり、イライラ、不眠といった精神症状まで引き起こす場合もあります。

これを漢方では瘀血(おけつ)といいますが、瘀血をよくするためには先ほどお話ししたストレッチや温めといったセルフケアが役立ちますが、それでも足りなければ漢方薬を飲むという方法もあります。お悩みの方は一度ご相談ください。

引用 https://www.green-house.co.jp/special/telework/posture/