更年期障害
2020.12.02

更年期障害④ ーホットフラッシュ(実熱編)ー

前回は実熱と虚熱の違いについてお話ししました。今回は実熱についてもう少し具体的にご説明していきます。

更年期に「汗」の症状を示すことは多いのですが、その内容は人により様々です。例えば、「訳もなく突然顔が熱くなって、滝のように汗が出る。そのあとは汗で体が冷えて辛い。そんなことが日に何度もある」という典型的なホットフラッシュの方から、「元々はたいして汗をかく方ではなかったのに、最近は掃除をしただけで汗ばむようになったなあ」という曖昧な症状の方まで多彩です。実熱による汗の場合は、は前者のような強い症状を示すことが多く、日常生活に差し支えるということで当院を受診される方もおられます。

診察をしていて思うのは、実熱の症状を示しやすい方は、肥満傾向にあることが多いということ(失礼!)。間食が多かったり、食べ過ぎしたりすることが多く、西洋医学的に言うと高血圧、糖尿病、高コレステロール血症を伴っていることも珍しくありません。このような方は体力があって元気なのですが、元々体が熱を産生しやすい性質があるため、更年期に差し掛かるとそれが行きすぎてしまってホットフラッシュにつながります。また、ホットフラッシュ以外の症状として、頭痛や赤ら顔など頭部の症状を伴ってくることもよくあります。

このような場合、自分でできる更年期対策として、食べ過ぎをやめることはとても効果があります。また、飲酒の習慣をやめることでホットフラッシュがよくなった方もおられます。体重が減るところまでいけば、頭痛がなくなることもあります。

漢方薬で治療する場合は、体の熱を冷ます、いわゆる清熱薬と言われる生薬を使いますが、漢方薬で不快な症状を軽くしながら、生活習慣を改善して自然にお薬がやめられるところにもっていく、そんな治療が理想だと思っています。(しのぶ)