一年で最も寒い季節になりましたね。
冷え性の方が一番つらい時期ですが、女性の72%、男性の41%の方が冷え性だとか。
冷えのお悩みで多いのが、手足の先が冷たくなる末端冷え性ですが、末端冷え性にも細かく見ると3タイプあります。
タイプ1 手足の先だけ冷えており、他はあまり気にならない
タイプ2 手足の先だけでなく、腹や腰も、実は全身冷えている
タイプ3 手足の先は冷えているが、顔はのぼせている
ヒトの体温はたいてい36度台に保たれていますが、これは内臓が正常に働くためにこの温度が必要だからです。なので体は手足を犠牲にしても内臓(体幹部)の体温だけは維持しようと働きます。このため寒い場所では熱が外へ放散しないように手足の血流が最小限にしぼられ、この結果として末端が冷たくなります。この反応はむしろ生存に必要なものであり、軽度の末端の冷えは誰にでも生じます。これが「布団のなかに入っても足が冷たくて寝られない」とか「毎年冬はしもやけになる」とかいうと治療の対象になってきますが、その冷えの原因には大きく分けて2つあります。
一つは体幹部の体温が保たれているにも関わらず、不必要に手足の血流がしぼられているタイプ(上記タイプ1)、もう一つは体の熱を産生する力がそもそも足りないので、暖かい場所でも手足の血流がしぼられている(上記タイプ2)。この二つです。
タイプ1はいわゆる自律神経失調が関わっています。末梢の血流をしぼるのは交感神経の働きですが、ストレスや寝不足などのために交感神経の働きが高まり、寒さへの反応が過剰となっている可能性があります。このようなタイプの方はしっかりと休息をとっていただく必要がありますが、副交感神経を高める呼吸法もおすすめです。
今回は一番簡単な方法をご紹介します。まず、背もたれのある椅子にゆったりと深く腰掛けます。次に肩の力をストンと抜いて、手のひらを太ももの上におきます。それから軽く目を閉じて、自分の心地よいリズムで深呼吸をして下さい。この時太ももの上に置いた手のひらに血液がドクンドクンと流れているのをイメージします。するとだんだん手のひらがジンジンと熱くなってくるような感覚がしてきますので、そのままできれば5分ほど深呼吸を続けて下さい。なかなか手が温まってこない場合は、足に膝掛けをして、膝掛けの下に手を入れるようにしてみて下さい。慣れてきたら、同じように足にも血液が流れているのをイメージして下さい。
手や足に血液が流れていることはふだんあまり意識しませんが、慣れてくるととてもはっきりと感じられますので、ぜひ1日1回から続けてみて下さいね。
漢方的には、熱の産生を高めながらストレスをゆるめ、血流を改善する漢方薬で治療を行います。食事や呼吸法などでも改善が難しい場合にはご相談なさってみて下さい。
長くなってきましたので、タイプ2タイプ3についてはまた次回に…(しのぶ)