今回は冷え性の最終回。手足の先は冷えているが、顔はのぼせているタイプの方のお話です。
一般的にストレスが影響していると言われますが、漢方においては「瘀血(おけつ)」という特殊な病態が隠れている場合があります。瘀血の患者さんの中には冷えを強く感じるタイプの方と、のぼせを強く感じるタイプの方がおられ、煎じ薬の場合は生薬の配合を微妙に調整して治療していきます。
さて、この瘀血、漢方独特の考え方なのですが、ここでは西洋医学でいう「末梢循環不全」に近いものとしてご理解いただければと思います。ただし、タイプ1でご説明したようなストレスによる一過性の循環不全ではなく、ある程度固定化した循環不全で、末梢血管が詰まりかけている感じです。このため末梢血管がクモの糸のように細く浮き上がっていたり、クマが出来やすかったり、舌や唇が紫色だったり、生理の血液にドロッとした塊があったり、と目で見てもわかる場合があります。
また、瘀血の方は便秘をしていたり、月経過多や不正出血といった月経の異常を伴ったり、また、のぼせるだけでなく、頭痛や肩こり、肌荒れ、抜け毛など、多彩な症状を伴いやすいのも特徴です。瘀血はある程度年齢を重ねると誰にもで多少は生じてくるもので、生活習慣の改善だけではなかなか対処できません。血行をよくする血海というツボ(足の内側で、膝のお皿の上端の角から指3本分上がったところ)の刺激も効果があると言われますので、思い当たる方は親指でギューッと押してみてください。瘀血があると結構な激痛があるはずです。
それでもなかなかよくならない場合は、一度漢方薬を試すのも良いですね。漢方薬では桂枝茯苓丸や桃核承気湯などを用いていきますが、1−2週間と比較的短期間で効果を感じられる方が多いようです。ただし、エキス剤では便通がつき過ぎることもありますので、特に飲み始めは注意が必要です。できれば専門医の指示に従って飲むようにしてください。(しのぶ)