なかなか寝付けないのは辛いものですね。
子供みたいに布団に入ったらすぐ眠りに落ちる、そんな睡眠は多くの大人の憧れといっても過言ではありません。睡眠薬を一度飲むと癖になるとよくいいますが、薬を飲めば子供のようにコトリと寝られるので、その快感を味わうともうやめられなくなる、そんな面もあると思います。
不眠症の漢方薬には色々あります。一般的には、抑うつ傾向の方には柴胡加竜骨牡蛎湯や柴胡桂枝乾姜湯、不安感が強い方には半夏厚朴湯、疲労感が強い方には酸棗仁湯、生理前に特に寝られなくなる方には加味逍遙散などなど。いずれも適切に選べばとてもよく効きます。でも、睡眠薬と違って飲むとその場で眠くなるということはありません。気が付いたら最近寝つきがいいな・・、そんな感じで自然に効いていきます。
その分、生活習慣の見直しも同時に進めることが欠かせません。眠られる習慣付けができれば、漢方薬をやめられる日も近づきます。そんな訳で今回は良い睡眠のために必要なこと、をシリーズでお話ししていきたいと思います。
初回はスマホについて。みなさん分かっていると思いますが、お布団の中でスマホを見ると必ず睡眠の質が下がります。画像の視覚刺激によって脳が亢奮してしまうのはもちろん、最近はブルーライトによって交感神経が刺激されることの害も言われています。ちなみにブルーライトはお肌のシミを増やす、というのも最近言われていますね。聞き捨てならない情報です。
「寝られないからなんとなくスマホを見てしまう」という方が多いですが、私もそんな時期がありました。でも最近はスマホはリビングに置いたまま、とてもよく寝られています。どんなふうに私がスマホから脱却したのかお話ししますね。
まず初めにしたのは、スマホを見るのをやめて音だけ聞くようにすることです。
スマホを見ないのはいいけど何もないのは物足りなく感じてしまったので、podcastを聴くことにしました。寝るための環境音楽アプリもたくさんありますが、私の場合は人の声を聞く方がなんとなく安心します。聞くのはあまり面白すぎない、騒がしすぎない番組にしました。あまり面白いと聞き入ってしまい、それはそれで寝られなくなってしまいますから。
Audibleなどでちょっと難しめのお話を聴くのも、いい感じで眠くなりますね。哲学とか経済学とか。
そして、聴き始める際には忘れずにスリープタイマーをかけます。タイマーをしていないと、眠りが浅くなったタイミングで音で目が覚めてしまうリスクがありますので。
タイマーは30-40分くらいでかけるのがいいと思います。15分くらいだとまだ寝つけていない場合があり、「あー15分たっても寝られなかったー」と落ち込みつつ、タイマーをリセットする必要が出てきます。
こうして第一段階として、スマホを見ることからは脱しました。次はスマホを寝室に入れない第二段階です。
睡眠前の退屈について初めに触れましたが、スマホを見たりpodcastを聴いたりする理由に、「睡眠前の不安」というのがあります。寝室の暗く静かな中にいると、なんとなく胸がザワザワする、動悸がしてくる、嫌なことを思い出す、とかいうとき、自分の負の思考から気を逸らすためにスマホを使うことがありますね。そうして好きな音楽を聴いて気分を落ち着けるのは一つのやり方ですが、負の思考を自分から切り離す方法は他にもあります。
私が最近トライしているのは呼吸法です。呼吸法には色々なやり方がありますが、私は意識を呼吸に集中して、頭にいろんな考えが浮かんできたら、それをソッと流してまた呼吸に戻っていく、それだけを繰り返します。
この時重要なのは、「頭に浮かんでくるいろんな考えと、それを考えている自分自身とは別のものである」と切り離して認識することです。なかなか呼吸に集中できずにいろんな考えが浮かび続けても、その分だけ呼吸に戻る練習になるし、自分の思考のクセが分かっていいという面もあります。そんな気楽な気分で、吸うよりも吐くことを意識して呼吸をしていると、呼吸すること自体が気持ち良くなり、退屈せず、不安にもならず自然に眠たくなってきます。
科学的には、腹式呼吸で吐く息をより長くしていくと副交感神経が刺激され、深い眠りに誘導される、と説明することもできますが、とにかく騙されたと思ってやってみてください。その辺の睡眠薬よりよく効きますよ。