診察をしていると、何を食べたらいいのか?何を飲んだらいいのか?聞かれることがよくあります。ネットにはいろいろな情報が溢れていて、何を信じたらいいのか分からないということもありますよね。
日本抗加齢医学会総会に参加していろんな話を聞いてきましたが、その中でもいろんな情報が錯綜していて、結局は自分で決めてやっていくしかないと実感しました。
コーヒーを例にとってお話ししますね。
コーヒーは世界中で飲まれている嗜好品なので、研究もいろいろあります。生活習慣病の観点からいくと、コーヒーを多く飲んでいる人ほど糖尿病が少なく寿命が長い傾向があると言われています。また、大腸癌のリスクも低いというデータがあるので、一般内科的にはコーヒーはたくさん飲んでいいという話になります。でも、整形外科領域の立場では、コーヒーを4杯以上飲むと骨粗鬆症のリスクが上がるというデータがあるため、飲み過ぎ注意と言われます。
最近流行りの腸活の観点からいくと、コーヒーを飲んでいる人の方が腸内フローラの多様性が低いというデータが出ていて、あまり良くないのかなと思う一方、コーヒーを多く飲んでいる人の方が顔のシミが少ないというデータがあって、やっぱり飲んだ方がいいかなと思ったり。
このようにコーヒーひとつをとっても情報は多様で、もし患者さんから「コーヒーってどうですか?」と聞かれても答えようがないんですよね。
ネットに出てくる情報はたいていひとつの観点からだけ語られるし、何かの商品を売るのに都合のいい情報だけ取り出していることが多いので、話半分に聞いておくくらいがちょうどいいと思います。特に「〇〇には△△が良い」という情報は要注意です。鵜呑みにしてそればかり摂りすぎると、思わぬ副作用が出てくるかもしれません。
漢方的食事法(薬膳)ももちろん良い面はあるのですが、残念ながら厳密に実践するのはほぼ不可能だと思っています。
なんにしろ偏った摂り方は避け、季節のものをバランス良く、腹八分目で。これが一番です。