頭痛
2022.08.14

お子さんの頭痛

当院には幼児から高校生まで、お母さんに連れられた患者さんもいらっしゃっいます。

ご相談の内容は、アトピー性皮膚炎、ニキビ、アレルギー性鼻炎、腹痛、夜尿、学校に行けないなどさまざまですが、一番多いのは頭痛の方です。

頭痛外来などに通院してお薬を2つも3つももらって飲んでいるのによくならない、そんな方もいらっしゃいます。でも、それはそうなんです。西洋医学の頭痛薬はスパッと効いてくれて、いざというとき頼りになりますが、頭痛の原因をよくしてくれる訳ではありませんから。

漢方には「不通則痛(通らざれば、すなわち痛む)」という考え方があり、私も痛みの原因を探るとき、体を巡る「気・血・水」のどれかが滞っていないかな、という点をまず考えます。

わかりやすい例でご説明すると、いわゆる「鞭打ち症」は交通事故などの強い衝撃によって首周囲の組織が損傷した状態ですが、漢方では衝撃によって首の中に内出血が起きて血流が阻害されている、いわゆる「瘀血」と捉えて治療を行います。

慢性頭痛も瘀血が原因となっている場合がありますが、お子さんの頭痛で一番多いのは水の滞りです。では、なぜお子さんは水が滞りやすいのか、考えてみましょう。

水の滞りなので、川を想像してみます。川の流れが悪くなるのは、どんな時でしょうか。

①どこかで流れが堰き止められている、②水が多すぎて氾濫している、③水が干上がって流れない、そんな状態が思い浮かびますね。

ところで、お子さんは体に含まれる水分の割合が多いというお話、どこかで聞かれたことはあるでしょうか。大人の場合は体の60%ですが、お子さんの場合は70%が水分と言われています。じゃあお子さんは水分が多いから、水が滞りやすいのは②の水が多すぎるから?と思ってしまいますが、実は逆で、多くの水分量をキープしていないと体調が悪くなりやすい、つまり水分の減少に敏感に反応してしまう、③が答えです。

特に小柄で筋肉量の少ないお子さんは、水分をキープする器も小さいので簡単に水分不足になり、頭痛を起こしやすくなりますので、水筒のお茶を全部飲んで帰ってくるか、水分を摂り忘れて遊んでいないか気をつけてあげてください。どの位おしっこをしているかも目安になります。例えば10歳であれば、一日5-7回くらいですね。あと、朝起きた時にちゃんとおしっこをしているか。大人は朝起きたらトイレに行くのが当たり前と思っていますが、お子さんもちゃんと行っているでしょうか。

水分の摂り方を工夫するだけで頭痛が良くなるお子さんも多いので、是非気をつけてあげてください。

少し話がずれますが、最近よく話題になる低気圧による頭痛は、気圧の変化によって②の水が氾濫してしまうのが原因です。そして漢方では②の溢れた状態も③の干上がった状態も、同じ水分バランスを整えるお薬で治したりします。ここが漢方薬のすごいところなんですよね。

https://www.otsuka.co.jp/nutraceutical/about/rehydration/water/body-fluid/
大塚製薬HPより引用